音楽

朝、起きて台所に行くと、たいていバロックがラジオから流れている。
ある時、えらく惹きつけられる曲があり、バッハのゴールトベルク変奏曲だという。
それならCDを持っているので、Webからフリー楽譜をゲットしてそれを眺めながらじっくりと聞き込む。
シャープやフラットが3つ以内なら楽譜を追えないことも無い。
出だしのアリアと、心引かれた25番はとてもゆっくりした進行なので実際に弾いてみる。
もちろんぜんぜん曲にもなっていないけれど、5年ぐらいやれば何とかなるかもしれない。
平均率クラヴィア曲集、第一番の前奏曲はそうやって一応、弾けるようになった。
バッハといえば無伴奏チェロソナタが好きで、20数年前にギター用の楽譜を買った。いまでも稀に弾くことがあるが、とても人前で演奏できるようなものではない。
老人になるまでには全曲を弾いてみたいと思っていたが、この調子では生涯掛けても不可能だろう。
でもこの曲を耳にするとき、深く味わえる。演奏家による解釈や音色の差異も感じ取れる。
音楽がわかるって、こういうことなのかもしれない。

バッハの音楽は人間を高めてくれる。取るに足りない屑のような存在が宇宙で唯一無二の価値あるものに一変する夕暮れの陽光のようだ。

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