裸体

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子どものころ、近所の消防署の前に裸体の青年像が立てられ、腰の部分が薄手のパンツをはいたように処理されていたのが何ともおかしかった。日本で見る裸体彫刻はほとんどが女性だが、存在すること自体が「間違っている」と感じられるし、役所には少なからぬ苦情も寄せられていると聞く。
さて、みなさんご存知のようにローマ市内には各所に彫像(男性像)が立っていて、多くのものがいわゆるフリチンだ。ギリシャ・ローマの戦闘的な彫像はみなこのようなスタイルで、大きなマントを背にしながら前面をオープンにして肉体を誇示している。
いずれも並々ならぬ気迫と自信に満ちているから、卑猥とか羞恥のかけらも感じさせない。
しかし白人種の人々もニタニタしながら見ているし、ダヴィデのそれは特に人気があってパンツにプリントされて土産物屋に並んでいるから、スッポンポンの裸体像は一般的ではないのだろう。
次の画像はテルミニ駅内の正面広告、これにも驚かされました。パリでもバス停に下着の大きな広告があって「へえー」と思ったけれど、首都の中央駅の真正面にずらりと並んだ下着広告、裸。ローマ以来の伝統がなければ出来ることではありません。いつも、このようなディスプレイなのかどうかはわかりませんが。

今回あまり彫刻は見なかったが、ローマの博物館で見た女性像にはぞくっとさせられた。背中に刺さった矢を抜こうとする少女。抑制された表現で、かつ生気に溢れ、このあとに訪れた教会で念願のベルニーニによる「聖テレサ」を見てもその過剰さばかりが気になったほど。

彫刻といえばやはりミケランジェロ。たまたま通りかかったフィレンツェのスピリト教会で出会ったキリスト像は最初現代の作品かと思った。http://www.emimatsui.com/arthistory/michelangelo/sculpture03.html
ローマの遺構を残しながら設計したサンタ・マリア・デリ・アンジェリ聖堂も、現代の建築家が使う手法そのもの。この現代性がミケランジェロの恐るべきところ。