リフレッシュ

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地理で学ぶ中央構造線は地図で見ても明快だが空から見てもナイフで切ったように鮮やかな切り口を見せている。この断層に沿って流れる吉野川をゆっくり訪ねてみたいと考えていた。
こま切れの予定表のブランクで見つけたサイクリング日和、温度は低いが風は北西と好都合である。
緑の自転車を分解してアストラムで大町駅へ。18切符が使えるほどの時間的ゆとりは無いし、のぞみなら岡山まで30分。四国に入れば特急しか使い物にならない。貧乏旅行が常の俺には特急を乗り継いでの旅は初めてかもしれない。或る意味では、ほんとうに貧しくなっただろう。前夜に中間点の町で格安ホテルを予約して置く。
阿波池田には10時過ぎに着く。さすがに早いものだ。

サイクリングの成否は、どれだけ主要国道を通らずに、田舎道、わき道、抜け道、できれば旧道を選んで走れるかにかかっている。天国と地獄、雲泥の差がそこにはあって、先人たちが築いてきたものと、この30年ほどで我々世代が作った(壊した)ものとの対比である。
旧道は「地形との自然な一体感」と「長い時間の蓄積」で何となくわかるし、場数を踏んでいるうちに。その差をかぎ分ける感覚も身に付いてくる。不思議なことに失われた過去のイメージを知る俺よりも、子供たちのほうが敏感にそれを感じ取ることがある。多分、ドライブしていても必ず古い道を選んでいた俺の感性が増幅されているのだろう。

ここでも吉野川は滔々と流れ立派な大河である。
川を眺めながら古い道を選ぼうとすると、支流の合流点あたりで大きく回り道を強いられるのだが、そういうポイントにおもしろいものがあったり、地元の人たちとの会話があったりで無駄にはならない。だいいち河口まで80kmでまっすぐ走れば一日で済むところを二日もかけての寄り道だ。
おまけに下りで追い風。
俺の人生そのものかな。

街並み保存地区に選定され「ウダツ」で名高い脇町が初日の宿泊所。
とてもまとまった見ごたえのあるところだ。
全盛期が100年前ということでまだそんなに古びていない。そのころは地方でもこうして富を蓄積するチャンスがあったのだ。
地方文化振興で考えるべきポイントだね、これは。いま、田舎で起業のチャンスはあるかな?
ただ300年前の民家にはウダツがなかったことから類推すると、名物のウダツは大正バブルの副産物だったのかもしれない。防火対策なら側面を固めるべきだし正面は「こけおどし」だろう。

天然記念物「土柱」は坂道を登り汗を流した甲斐も無く、日本三大ガッカリに選んでもいいようなものだった。土柱ウドンとか土柱ホテルとか5,6件は関連の施設があって当然に休業状態だけど、これほど貧相な所でこんなものが成立した時代もあったのだということが信じられない。
地理のファンとしては見過ごせないポイントではあるけれど、これほど渋くなると・・・何も言えません。

吉野川の広大な河川敷には竹林が密生して菜の花畑が延々とつながり、毎日川沿いに通勤している俺には大感動の絶景。
幾つもの潜水橋を行ったり来たり、水は下流域まで澄んでゴミも少ない。
開発か保全かで話題になる第十堰や藍の屋敷を訪ねながら徳島に近づいた所で、自然ばかりでなく文化にも触れたくなって八十八ヵ所にも立ち寄ってみる。
俗気ムンムンのどうしようもない所からさすがに歴史という寺院までHIGHとLOWが極端であるが、お遍路道のオーラは独特なもので、やはり四国では無視できないポイントだ。

ということで、かなりリフレシュできた。
じっくり堤防に座り込んで川を眺めたり、夕暮れの木立を眺めたり、1人ならではの気ままな旅を堪能した。
海を渡って和歌山から吉野まで、中央構造線をさらに西進するともっと楽しそうだが
帰った翌日に友人の結婚式で帰省した次男とともにテニスが出来たのもとてもHAPPYで、よい休暇になりました。