色の記憶

1年生基礎の課題で毎年、色彩構成をやらせている。
ひとり、濁った色ばかり使う学生がいて、その色を見て遠い昔の幼稚園の記憶が甦った。
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こんな色のクレパス電気機関車を描いたのだった。確か・・・
今にして思うと、よくこんな渋い色がパステルの中にあったもんだなあという気もするが、オリーブ色とカーキ色、ともに軍隊で使われた色だから、戦後10年ぐらいの当時は周囲にも絵の具にも残っていたのだろう。
市内電車や国鉄には使われていない色だったから、多分、京福電車を描いたのだ。でも形は国鉄EF58の機関車だったみたい。
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これは荒目のテクスチュアを持ったメタリックカラーとして見てください。
エメラルドグリーンメタリックの彩度が低いものと言うべきでしょうか。
「好きじゃなかったけれど忘れられない」という幼年期の思い出の中の近所の女の子みたいな色。
実は金属製玩具の塗装色です。
合体式の翼を外すと飛行機が自動車になるというオモチャでした。
この色は車の塗装色にもなるから時々目撃する。その度にオモチャの形が甦る。
学生が好きな蛍光ピンクも二十歳前のころを思い出させる。
自分の作品で色を意識的に使うことは少ないけれど、記憶の中にはいろんな色があって、軽く酔ったような快さに包まれて幸福になる。

窓の外は激しい雨が降り続いている火曜日の夜。