異化

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専攻科の授業は少人数なので、毎回実験的な現代美術体験を進めている。
今回はクリストの梱包アートを紹介して「度はずれた大規模なプロジェクト」を構想することと、梱包による異化効果の実践的理解を企画した。
午後一番の授業でおなかが膨れて居眠りする人もいたけれど、さすがに人体梱包では目覚めた。
当初は何か物体を包むつもりだったが、冗談で「縛られても平気な人、いる?」と尋ねたら「根っからのMです。」という明るい学生がいたので、二人ほど椅子に座ってもらって、白布を被せナイロンテープでソフトに梱包するという制作を学生にやってもらった。
不思議なことに、梱包してしまうと「この人」とか「Kさん」じゃなくって「これ」とか「それ」みたいな「物」として呼んでしまう。
「これ、廊下に出しとこうよ」ということで「ふたつ」並べておく。
両脇にはゴミ袋に入った扇風機。これはアドリブで学生が加えた。
実に異様。
授業の終わりに他学科の学生が教室から出てきたら大騒ぎになること必至。「2,3時間ぐらいじっとしてますよ」と彼女らは平気だったが、パニックになる人が出ては困るので早々に梱包を解いた。

クラスの雰囲気を見定めないと難しい企画だが、強烈なインパクトに自分も驚かされた。
これが癖になると相当にヤバイぞ。