Old & New

県庁での用件の帰りに、向かいの「ひろしま美術館」に立ち寄った。
先日の展示の折に、Y大学のS氏から評判を聞いていたこともあるが、トイレを借りたいと言うのが本当の所だった。
今年からは職員証で無料になっているので、そんな入り方も起こるわけだ。

ここには3年以上も来ていなかったかもしれない。
円形ホールの壁面にルオーの版画が架けられていて、まずそれに引きつけられた。
そして、目玉のゴッホ。パワフル、放射されるエネルギー。
魅入ってしまう。

その絵のX線分析や現在の写真、周辺の立体模型なども楽しく見る。
午後の授業が控えていたからそれほど長居は出来なかったけれど、じっくりと集中できた。

紅葉の美しい中央公園を抜けながら、どうしてあれほど引きつけられたのかと考える。
ディフィやマルケも素敵だった。
ただ、その影響を受けた安井や梅原の絵画はとても古い時代のものに感じられる。
これは時間をかけて考えてみなければならない問題だ。
100年前のもの、といっても俺が生まれた時点からだと40年少し前のことでしかない。
初めてルオーの作品を見た小学生のころにルオーは亡くなっている。
そんなに昔のことではない。
現代の美術作品よりもはるかにリアリティを感じた。
虚脱したような、瞑想するような、大きな瞳の男、鈍いグレーの重厚な銅版画。
これをゆるやかに動かしたい。