北野の天神の前に千本釈迦堂に立ち寄った。大報恩寺が正式名称だが、その名で呼ぶ人は滅多にいない。東京で大報恩寺展が開かれていた時に知った。
以前に来た時に入口がわからず、ぐるぐる回ったのだが、今回も同様に迷う。
東と北側は150cmほどしかない道幅の路地が入り組んでいて、火事が起こったら大変なゾーンである。市役所に努める息子もそんなことを言っていた。
しかし日本にはわずかしか残されていないワクワクするような魅力的な世界だ。
中京のような堅実さとは異なるカオスが西陣にはある。
俺はもちろんこちら側の人間だ。
北野天神から衣笠、等持院、龍安寺、仁和寺へと走る。
浪人時代の知人たちが(やはり女性)居たところだ。ひとりは亡くなっている。道行く人は誰もがこういう懐かしい思い出とともに生きて消えていくのだ。
妙心寺の仏殿。何十年も訪れていなかった。
目玉になる美術品も無いから観光客も少ない。
塔頭寺院が46もあるという。それらを結ぶ道がとてもいい。
ぐるぐると自転車で回れる。とにかく広い。メインの通りだけでも2kmはある。
庭園で有名な塔頭もあるが、これほど多くの寺院が密集して、そのどれもがキリッと掃き清められやつれがない。
そういう仕組みで維持できているのだろう?
短い滞在だったが多くのものを見た。自転車で走り回っているだけで活気が得られる。俺の世界はここだと思うけれど、月に一度、訪れているから感じることであって、住んで日常になったらどうかな?