シュルレアリスムと日本

シュルレアリスムと日本という展示を見た。
京都文化博物館という三條通りにある渋い会場で、料金も昨今にしては珍しく安い500円である。
入り口から企画者の気迫が伝わってくる。第2室で、これは凄いじゃないかと胸が高まってきた。

大学に入学してから初めての自由制作で、俺はかなりシュールな絵を描いた。
講評会で指導教員は参考にすべき作家の名前を幾つか教えてくれたが、当時はビジュアル情報がとても少なくて、ただその名前を聞くだけに終わっていた。
それが目の前に並んでいる。20歳の頃に見たかった。70歳を超えた老人がそんなことを考えている。
講評会の席で、ほとんど発言することなく指先を震わせているだけの年老いた教員がいた。
周囲の人は、あの人はアル中でもう終わっていると話していたのだが、その人の若い時代の作品もいくつか並んでいた。1930年代に先駆的な活動をされていたのだったが、数年後に亡くなったと聞いた。

会場には2時間近くいただろうか。色々と考えさせられた。特に意識はしていなかったが、俺の近年の代表作である「21」はシュルレアリスムの系列だ。
シュルレアリスム宣言が出されて今年で100年になる節目に企画された展覧会だ。俺が今72歳、それほど時間差が開いているわけではない。自覚していなくても時代の流れに影響されていたのだろう。

そこから丸太町の画廊に寄って先輩の展示を見る。次に近代美術館のファイバーアート展を見る予定だったがさすがに疲れた。1日に2つ以上は消化不良を起こしてしまう。鴨川のほとりで休憩して軽くスケッチ。

雲ひとつない快晴の午後、北山のブルーが刻々と変化する。散歩する人、走る人、読書する人、穏やかな日常が嬉しい。これがあってのシュールでしょう。
鴨川沿いに帰る途中、五條大橋の手前でアオサギに餌をやっている人がいた。人を怖がらないとは驚きだ。カメラを向ける人が何人もいた。