翻訳

サン・テグジュペリの「星の王子様」で異なる翻訳が何冊か図書館の書架にあったので、2冊を借りて来た。

毎月の掛かり付け医での待ち時間で読み比べてみる。何回か短文の翻訳を試みたことがあるが、英語の解読よりも日本語表現が難しいと感じていた。

小説家の池澤夏樹倉橋由美子だからその点は問題なし。縦書きと横書きや、言い回しの相違など交互に読んでいくと面白い。

ふと奥付を見ると両方とも2005年の発行だ。こりゃなんかあるなと調べたら著作権保護期間が終わった年に各社が競って出版したのだった。

なんと8種類もの翻訳が出ていて、その比較説明もネットで見られる。

訳者のあとがき、特に倉橋由美子が面白いとあったので読んでみる。確かに。醒めて分析している。

著名な文学作品でも権利関係から複数の翻訳が出ることは少ない。そして作家よりも文学研究者の手になるものが多くて、総じて文章は硬かった。(それも昔話になっては来ているけど)。

(若い頃にカフカの「審判」を読んでギクシャクしたのだが、訳者は在学していた立命館での担当教員だと知って複雑な気分だったなあ。)

多様な訳が出るのは良いことだけど、急速に進化する電子翻訳でどうなっていくのかな?根拠のない権威が消失するのは良いことだが危険なことも起こるのではないか。

朝から暗くて昼からは強い雨が降り続いた。おかげでデスクワークが進む。

いっとき机の前に座ると1時間で大腿骨が痛んで立ち上がるのに難儀していたが、最近はまったく支障が無くなった。2年ほど続いたかな。

今、女房が同じ痛みに悩まされている。同じように、知らない間に回復するといいのだが。ともかく忘れるほど長くかかるものではある。