徒然なるまま

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家にいるとパソコンの前に座ってネット三昧で、世界のコロナ状況に釘付けになる。

ピアノを触るぐらいで本も読まない。

これではいかんと裏山に。

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いつもは暗い雰囲気の登山口が山ツツジ満開で華やかだ。

女房おすすめのラジオ番組「高橋源一郎飛ぶ教室」をらじるらじるで聞きながら急坂をストック両手で登る。

まずは五味太郎のコロナインタビュー、次にスペイン風についての本、ゲストいとうせいこうとの会話。

わが意を得たりの面白さで初回も聴く。カミュのペスト、ゲストとのトークヤマザキマリ。それにしても大変なテーマを笑いながらバッサリまとめてしまう、さすがに文学界のチャラ男である。

でも若い頃、カミュには憧れたな。

俺は(1年間だけど)文学部の学生だったが当時のスターはカミュサルトルは難解で、木の根っこを見て実存的嘔吐に襲われるという冴えないイメージ。

一方カミュは神の怒りに触れ、巨大な岩を山頂に持ち上げては落とされ、未来永劫それを繰り返すシシュポスの神話だから、明快でアクティブ。男ぶりも良かった。

この舞台になった山が昨年行ったアトラス山脈だったから、ハードボイルドな山容を見てなるほどなと納得させられた。

そのついでに先日読んだ古い岩波新書の「モロッコ」について話そう。

まず1930年代パリのカルチェラタンの夜、外交官が集まるパーティに仏人女性を伴って

著者が登場する。全く映画の世界だ。

これだけで岩波新書から飛んでいるが、そこで仕込んだモロッコの情報に惹かれて二人は彼女の家でワイン片手に語り合う。どう見てもドキュメンタリーでは無い。

ロッコではフランス軍将校のツテを頼りにバザールや歓楽街をうろつくのだが、その文中で、どれほどフランスのエリートがユダヤ人を嫌っているかが語られる。

戦後の出版物では絶対に表面に出なかった内容に驚かされる。こういう背景がなければ500万人以上もの殺戮は有り得なかったのではないか。

それを考えさせられたことが収穫だったが、この著者、山田吉彦は帰国後、奥多摩に住んで「きちがい部落」シリーズを出す「きだみのる」だと知ってビックリ。

フランスの学術書も多数翻訳している。

面白い人がたくさんいるものだな。