10年前の出版なのに、この10年で周囲に起こったことが見事にまとめられている。
職業の不安定、格差、親への依存、晩婚などの結果としての少子化。
こんなエピソードを聞いたな。これはあの人のケースだ。
そんなふうに「思い当たる節」が続出して、なるほど子供が減る道理だと納得できる。
豊かに、幸福に育ったことが家を出て自立することを妨げ、就業や結婚を遅らせる要因になるなんてなあ。
貧乏だった俺には考えられないけど、それが幸運だったのだ。
昔、裕福だった人たちを羨んだこともあったが、彼らの現状はうら寂しいものだし、そこで起こった変化の原因も簡潔にまとめられている。
統計や数値化の嘘デタラメは最近の報道をみても呆れるほどだが、この本は国勢調査など信頼できるデータをもとにしているので、その分析も的をついている。やはり数値は馬鹿に出来ない。
人はいろいろと先々のことを思いやって手を打つけど、時代の流れ次第で簡単にひっくり返される。
津波や山崩れも予想ができない。
基本は思いわずらうことなく泰然としているべきだが、同時にボケボケしていてもいかん。