清明上河図

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先月末に立ち読みで触発されて「清明上河図」関連を図書館から借り出した。

その中にリービ秀雄の紀行文学があり、興味を惹かれてさらに3冊を読んだ。

作者は20世紀末から100回以上も中国の地方都市を訪れて歩き回っているが、そこに描かれている世界が俺の見る夢と相似しているのだ。

没入して一気に読む。こんな読書は久々だった。

絵巻は縦25cmで長さが530cmと小さいものだが、千年前の北宋時代、当時は世界最大の都だった首都の汴京(べんけい、東京とも表記されていた)が克明に再現されていて、そのなかには550人の人々、100軒以上の家屋が描きこまれている。

中国で一番人気のある絵画で、人物が動く電子バージョンも作られているそうだ。

(俺も学生たちと北斎の浮世絵版画を動画にしたことがあったな。)

繁栄を極めた汴京はいま凋落して田舎街になっていて、その荒んだ姿をリービが書く。

中国人民7割の農民が押し込められている極度の貧困。習近平の最近の路線変更はこの格差の修正だろうが、権力者が民衆を制御する統治の形は何千年と変わらない。

歴史は過酷なものだが、この絵巻に描かれた世界は豊かで活気に満ちていて、飽きることがない。これは極楽図だ。