フェルメール採点

お盆ということで人並みに帰省。ただし人の流れに逆行するので新幹線はガラガラ。
京都、岡崎では二つの展示を鑑賞。
近美は「モホイ-ナジ」この人、昔は「モホリ-ナギ」と表記されていた。その辺りの経緯は展示のウェブサイトhttp://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2011/387.htmlに。
ここではお向かいの市美術館でのフェルメールについて。
先月に見に来ていた女房の話では、とても空いているとのことだったが、大文字焼きの当日でもあり、九州でのゴッホ展の3時間待ちみたいなことにならないだろうかと心配しながら開館の20分前に着いたのだが、小さな行列ができているだけだった。
先着100名様への絵はがきプレゼントをいただく。
さてフェルメールの作品はここでhttp://www.wikipaintings.org/en/johannes-vermeer/mode/all-paintings見ることができる。かなり色再現も良い。
イメージ 1
これまでに図の1と2をルーブルと神戸で見ている。1は20cm、2は1mとサイズは大きく異なるけれどいずれも秀作だった。
今回の3は強いスポットがあたったように、フェルメールとしては明暗差が大きくバロック的。
照明の演出も少し影響しているのだろうか。
レンズ効果を再現した技巧的な作品だが純白のハイライトがあちこちに飛んで少しうるさい。描きすぎたのじゃないかと思われる。でも、それだけに「ボカシ」が精緻に表されていて両腕の間の空間が滲んだような光に包まれている。
やっぱりフェルメールは朝の光なので、少し描き足りないけど4の方に高い評価を与えたい。
ただ、頬にかかる髪が絵具の剥落のように見えて驚いた。かすかでも光が左から当たっているように描かないといけないのだが。
母親と一緒の中学生男子が同様の感想を漏らしていたので「ホント、僕もそう思うよ」と声をかける。
こういうことは画集では感じ取れない。
5は道具立ては揃っているがフェルメールになる一歩手前で終わっている。いまひとつでしょうか。
もっと描き込んでほしい。
というように並んだ3点を行きつ戻りつ比較しながら鑑賞できるほど。
次第に人並みが増えてきたがゆっくりと味わえる。
映像時代の現代人にはとてもわかりやすいフェルメールだから、長蛇の列ができても不思議ではないのになあ。
こうしてみると相当に実験的な作品が多くレンズに映ったままを再現しようと様々な試みが行われている。それだけに生意気にも採点してみたくなるのだが、これがカラバッジョだったら何も言えない。レオナルドだったら作品に込められた思索の重さに付いて行けない。

当時先端のメディアだったという手紙に関する解説もおもしろい。
アジアからの手紙は2年かかって届いたというから、何光年か彼方の星を思わせる。
そういう貴重なものの感触が画面から伝わってくる。