公募展を見に行く

卒業生から案内をもらっていて、絶対に行こうと思っていた展示が始まったと同時に大寒波。週末には第2波の予報だから薄日が差した木曜日の午後、自転車で県立美術館へ。

まだすごく冷たい。歩道はまだ雪が残って滑るし、何度か引き返そうと思ったが、1時間近くかけて14kmを走った。山の中なら無理は禁物だが、並行して電車が走っているので少しは冒険をしておくべきだろう。

 このDMに会の主張としてあげられている4項目に感心する。理想だから実行するのは難しいけれど。

基本的に公募展は苦手で否定的なのだが、今日はポジティブに受容してみようと決めていた。現在、この会の理事をしている遠藤彰子に昔から共感していたこともある。

細密な古典技法で描かれた風景画も何点かあって、これに似たような事は自分も描いたことがある。俺に持続力があって移り気でなかったら、こういう場で展示していたかもしれない。評価され褒められたりしていたら、毎年同じような作品を描いて出品していたかもしれないな、と考える。

グローバルな視点からは、東洋人が現代にこんな西欧古典風の絵を描く意味は無いと思う。でも、日本人がフェルメールブリューゲルファン・アイクなどを高画質な印刷物で知ったのは戦後のことだ。(明治大正の画家は当時の西欧から直接に影響を受けていた。もちろんレオナルドやミケランジェロは知っていただろうけど)

俺もブリューゲルが大好きで実物を見たいし、あのような絵が描きたいと今でも思っている。意義は無いと分かっていてもノックアウトされたのだから理屈は通じない。

この会派の中枢は俺と同世代で、会の平均年齢もかなり高いだろう。時代は過ぎ去った。

気になった作品がひとつ。部分を取り出しても面白い。

作者は立見栄男。柔軟で自在。すごくいい。ネットから検索できないけど、中枢メンバーのようだから探ってみたい。 

館内のチラシコーナーで坂口恭平パステル画展-熊本現代美術館を見て、この「新鮮さ」が公募展で感じ取れないのだと気づく。

教育が過ぎて伝統工芸みたいになっているのだ。これでは若者は近づかないな。

しかし、この坂口恭平、異色の建築家だったのに、小説を書けば文芸賞だし歌も歌う。(Youtubeで全曲公開の太っ腹)今回のパステル画もうまい。ルドンが師匠というから恐れ入る。これは売れるぞ。元祖天才の会田誠もぶっ飛ぶな。