十月八日

海田町の旧千葉家住宅で工芸の作品展が開かれていると聞いた。

海田町の山際を通る山陽道は歴史を感じさせる、広島では数少ない道である。

良い機会なので出かけてみた。

地域の豪商だけあってお庭も大きな石をふんだんに使って立派なものだ。右手の建物は風呂で湯上りに庭を眺めるという配置は珍しい。

金満家は国内に相当数居るようだが大勢の使用人を置いて暮らしている人は稀有だろう。豪邸は核家族には住みにくい。

文化財として保護保存されない邸宅は解体されてアパートになっていく。

富の蓄積が、富の拡大再生産ではなく、良いものを残すことに正しく使われて文化が育ってきた。この先も、それは期待しにくいな。

 

先代まではここで生活されていたので、流しやカマドなどが昭和初期の形で残っている。我々世代にとっては懐かしい空間だが、戻りたいとは思わない。

しかし、これぐらい前に戻らないと生態系の危機を克服できないのだけど。

午後はS大でテニスをして、山越えで街に卒業生の映像作品展を見に行く。

広島の街は夕方が美しい。こういう眺望が得られる場で暮らしていたら広島の評価は大きく変わるだろうな。

横川の電車通りに面した4坪ほどの展示空間で、新しい技術を使った優しい映像が流れている。日没から夜10時までオープンで、画廊の前に着いた時、ちょうど扉が開いた。

大学や放送局という安定した職を捨ててフリーでやっている。その辺りのことは親には話していないというから、ウチの息子と同じだ。個人事業主は税金や保険などの雑務も大変だよとか生活の話が多くなる。うまくやって行ってほしいな。

 

好天の今日は孫の保育園の運動会だった。例によって親だけしか参加できない。来週は小学校の運動会だが、これもジジババは見られない。

コロナも三年目だ。いい加減に特別扱いはやめてマスクも解除しないと日本は沈没するぞ。