出雲ぶらぶら

同期に退職した美術史と彫刻担当の元同僚から、島根県立美術館で開催中の出雲の仏像展に誘われた。

このT氏が企画した研修旅行には、女房、息子、孫まで同行させてもらっている。今日も女房が同行。

日本初乃宮とあるが、根拠はスサノオの伝説にあるので素直に受け取っておく。

小学校の時に何度も日本書記をベースに絵を描いたからスサノオには親しみがある。

スサノオの背景はこんなに穏やかな野山だったのか?

この社殿を守る狛犬が目を引く。

頭を低く、後足は伸ばして尻尾を高く上げている。他では見ないポーズだ。

素材は来待石だそうで、帰りにその石切り場に寄ろうということに。

お昼は松江の名物店で割子ソバ。美味。食通のT氏と一緒でなければ食べなかったな。

放置された仏像の朽ち方とか、極端なしかめっ面の不動明王が印象に残った特別展。

常設では一番に惹きつけられた松本竣介の小品。東京の近美でも光っていた。

なんて美しい汚れ味なんだろう。

コレクション展の勝井三雄。グラフィックの重鎮なのに知らなかった。不覚。

印刷で光を表現している。今度の映像で真似させてもらおう。

来待石の石切り場にある展示施設で。

加工しやすい砂岩で苔がつきやすいから灯篭の素材として人気がある。石粉は石州瓦の釉薬に使われると聞いて、焼いて赤くなるのは鉄分が多いからじゃないかと考えたら、正解だった。この地域は砂鉄生産の拠点だったからな。

中国山地の緑に農家の赤い瓦が映える風景は素晴らしいものだが、大地、岩石から景観が生み出されているなんて、とてもいいなあ。

尻を高く上げた狛犬は、構え型とか出雲型と呼ばれているそうだ。どんな経緯で生まれたのかな?

お土産に世界の珍石と体験施設の前庭に転がっている破片を買った。破片はA4大で厚みが10cmほど。重くないしドライバーでも彫れるという。

彫刻家のT氏と一緒でなければ買わなかった来待石。磁石が付くほど鉄が含まれている。また来待(きまち)という名前も良い。

往復の330kmをT氏はひとりで運転。楽々の一日ありがたし。