母親に送る絵ハガキのネタとして季節の花を描いているが、これまでほとんど描いたことがないテーマなので四苦八苦だ。
小学校の時から「綺麗なものを描くなんて馬鹿みたいだ」と考えていた。ゴミ焼却炉を描いた時はさすがに「どうなんかなあ?」と感じたけど、花は論外だった。
それだけに今は初心者としてのワクワク感があって楽しい。
思い返せば学生時代、実習室を掃除していた現業員のオッサンから「訳のわからんものばかり描いとるが、絵というもんは花が咲いて綺麗やなというのを描くもんと違うか?」と詰問されたことがある。
呆れながらも「そんな見方もあるんか?」と考えさせられた。
市立の美大だったから現業員のスタッフは固定されていた。長年勤めるから、目も肥えて皆さん、自分なりの解釈を持っておられる。特に古株のボスは威張っていて、ご機嫌を損ねると暖房の灯油ももらえなかった。
中には白髪ロン毛の知的な風貌で学生に素材の扱いを細かく指導している人がいた。俺はずっと工芸の教授だと思っていたのだが、隅の方で掃除をしているオッサンが実は高名な教授と知った時はビックリだった。
当時の学長はステテコに腹巻姿で「暑い暑い」と内輪を使いながら現れ、「こんなとこにいてもアカンさかい、すぐに辞めなさい」と我々新入生にのたまったし、何かと規格外の大学だった。私立でも精華大学は大学案内のトップに清掃員が出たことがあり、学長も元ヒッピーやアフリカ人など因習に縛られない校風は美術大学らしい。
ということで、そんな学校(美大)に通っているとずんずんと普通から遠ざかっていって風変わりな人間に変化していく。