我が家の猫は18歳を過ぎてから動きが緩慢になってきて、トイレも狙いが定まらず場外に放出することが再々ある。その都度、デッキブラシで水洗いしているが、これからの季節は乾燥が遅くなるから別の対応を迫られていた。
そんな時に、移転が終わった後の残留物からプラ段に注目。数年前の展示に使ったものだ。猫トイレをこの上に置けば粗相をした時には、これだけを洗えば良い。
大きな猫なので市販のトイレでは収まりきらないのも一因なのである。交換用にと二つ作ったけれど、研究室を移って最初の工作がこれか。
実習室はほぼ片付いたけど、より快適にと考えると仕事は際限がない。
遅くなると帰宅途中で日が沈む。もう9月も半ばなのだ。彼岸花も見かけた。
帰宅して、しばらくすると女房から夕食のコールがある。すると猫もどこからともなく現れて台所の片隅に置かれたキャットフードを食べ水を飲む。
朝夕お決まりのパターン。人に寄り付かない猫だが一緒に暮らしているわけだ。
その猫が今夜は現れないから家中を探した。
いつも巧妙に人目を避けて隠れるのだが、あらゆるポイントをチェックしても見つけられない。
死期を悟った猫は姿を眩ます。
前に居た猫も夕焼けを一緒に眺めた夜に消えた。
そのことを思い出していたが俺も女房もそれを口にはしない。
いろんなところでThe Endに遭遇するいま、猫に去られるのは辛い。
出入り口はロックされているし、滅多に外に出ない猫だから屋外は考えられない。
と思いつつもライトを持って庭を探した。
裏手に回った時、発見。鳴きもせず勝手口に手をかけている。
安堵。
いつ、どこから出たのかわからないが、
ささやかな繰り返しに支えられている有り難さ。