記憶 鉄道

鉄道に関することなら山のように話題がある。鉄道ファンは誰でもそうなのだろうけど。
何しろ家から京都駅までは徒歩15分
鉄道の周辺設備や保線区までは10分足らずだったから、ほとんどの時間、ひとりで鉄道を眺めていた。
近所の子供達とワイワイ遊んだという記憶があまりない。絵を描くことと鉄道を眺めることで小学校が終わった。
この十年間で駅周辺はすっかり現代になってしまったが、以前は錆とグリースにスチームが噴き出すモノクロームの世界だった。
思えばそれが僕の基調色になっている。
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夕暮れ、長い長い貨物列車の最後尾に、小さなデッキが付いた車掌車。窓の外を見ている人影。
木造の車内は小さな机と椅子があるだけだが、暖かく居心地が良さそうだ。
夜通し走って列車は何処へ行くのだろう?

密かに憧れていた車掌車は、まもなく廃止され、延々と続いた貨物列車は均質なコンテナーを運ぶベルトコンベアーに成り下がってしまったが、年々少なくなる普通列車で何度も旅をして窓の外を眺め続けた。その時に一緒だった子供達はもっと遠くまで旅に出てさらに広い世界を見ている。