トロンプルイユ?アバターもぶっ飛ぶ3次元

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ローマの本屋には「トロンプルイユの描き方」みたいな本が幾つもあって、この手の絵の人気があるようだが、中身は何ということはない唯の油絵の描き方である。まあ、ルネサンス以降の絵画はすべてトロンプルイユと言えないこともないのだが、座標変換ぐらいは載せておけよな。
上の画像は駅前の博物館の一角でこれぐらいが普通のトロンプルイユでしょうね。

さて、ローマのど真ん中にあるジェズ教会は日本人にも馴染み深いイグナティウス・ロヨラさんが祀られているので立ち寄ってみようかという気分になるのだが、入ってびっくり、超ヘビー級のギンギラギンに圧倒されて逃げ出したくなるほどだ。しかし今回の狙いは透視図法の名手といわれたイエズス会アンドレア・ポッツォの数奇を凝らした大天井画。
曲面の天井に描かれた浮遊する人物に現実の立体や切り抜かれた画像が絡んで、どれが実体か錯覚か区別がつかない。床面に置かれた鏡に映してみると、効果はさらに高まってクラクラするほどだ。
これには最近評判になった3D映画「アバター」も霞んでしまう。
この教会の近くにあるローマ学寮の天井も同じくアンドレア・ポッツォの手になるもので、こちらも同様に大規模なもので、極め付けは円形ドームの錯視画。なんでも建設予算がなくなったので半球状に凹んでいるように描いたとか。究極の「絵に描いた餅」だ。
ポッツォの仕事はあまりにも桁外れだが、近々に電子テクノロジーを使ったこういう大規模な施設・装置が現れるような気がする。

汚くボロボロの壁の教会の内部に、こういう物凄いものがあり、前回、紹介したカラバッジョ同様、30分の徒歩圏に隣り合っていて、(ローマ時代の遺物もどっさり)この街の密度には脱帽だ。
「2500年、都市をやっとります」ということか。それにしてもまだまだ見るべきものが山積み。
また、来ます。