広島に帰る

広島に帰ってきた。帰りの列車もほぼ満席で乗客の半数は白人。ジャパンレールパスでは「のぞみ」に乗れないから「こだま」に集中するのだろう。大男がこんなに大きなリュックがあるのかというほどデカイのを背負っている。

カープの試合があるのか、赤いユニフォーム姿もチラホラ。

在来線のホームに立つとホッとした。辺鄙な田舎に帰ってきたと感じた昔との差異に「オヤオヤ?」と思う。ちょっと未開の新天地に立ったような気分なのだ。

京都で過ごした部屋を掃除していて、高校の卒業アルバムを見つけて見入った。

この学年11クラスの五百人、その誰とも接点が無い。そしてみんな72歳になっている。

1学年上だった兄貴が近隣に住む3人の友人と毎月顔を合わせているのとは大違いだ。

この写真の中には在校中から仲が良くて数年後に結婚した二人もいるし、俺の初恋の人も居る。どんな人生を歩んだのだろう?

広島に来て全てがリセットされた。誰も過去の俺を知る人はいない。毎年、うら若い女性が入学して来て2年間で卒業して行く。そんな暮らしを44年送った人間がふっと18歳にワープしたら結構ドッシリと胸が詰まる。

在来線ホームに立った時にその重さが消えた。大げさに言うとヨーロッパとアメリカがそんな関係だったのかもしれない。