大学の卒業式は3月中旬以降だが小中高では進学絡みで早く開催される。
3月を待ちわびたように朝から卒業式のニュースが流れた。
長く学校関係に勤めてきたが、世間に流布する卒業のイメージである、劇的な別れの儀式、不安と期待に満ちた未来への旅立ち、等といった高揚を感じたことが無い。
卒業する人よりも送り出す人のための行事なのかもしれない。
「卒業なんてことは無いんだよ」と学科のパーティで吐き出すように語った彫刻家の芥川先生の言葉が忘れられない。
この席でそんなことを言うなんて青臭い人だなと二十代の俺が感じたほど唐突な発言だったけど、熟慮した言葉だと今になってわかる。
本当に素晴らしい人だった。それだけでも広島に来たことを肯定できる。
京都から卒業式リハーサル映像が送られてきた。
伴奏の見事なピアノ連弾。
一年生も送る会で演奏する。
広島の我々が住む地域の小学校では学童数が多すぎてこんな行事が開けない。
そういえば俺も若年人口激増期で高校、大学と校舎はプレハブだったから、さっさと出て行ってくださいモードだった。
卒業か・・・・
しみじみと考えさせられる言葉ではある。
それが「卒業生」になると俄然、いろんな思いが溢れ出てくるから、あの「式」というのが俺にはネックなのだ。