卒展

2月は卒展シーズンだ。まずは元職場の卒展へ。これは見ておきたい。見ておかねばならないことはないが、やはり気にはなる。

今年も学内展示となっている。この3号館の絵画作品は良かった。でも他はマンガ的世界観に塗り潰されていて、感想も助言も伝える言葉がない、というか俺の言葉は彼らに伝わらないだろう。縁が切れたか。寂しいと言うより心配になる。


この時期はあちこちの美術大学の卒展を見て回ったものだが、今月は広島に留まるつもりなので近場の市立大学美術学部も見ておく。家からも近い。

こりゃ楽しくっていいな。作者の三松さんも陽気で楽しい。お互い関西人なので(彼は交通拠点の大阪十三育ち)波長があって色んな話をした。

卒業後も東京で展示が控えていて、場所は天王洲アイルだとか。以前に息子がアトリエを借りていた倉庫ビルのギャラリーだ。アートの好況感は低下しているとのことだが、こういうポップな作品ならやっていけそう。

この美術学部も女性が8割と多い。だから・・・と言うと角が立つこの頃の風潮はどうかと思うけど、やはり染織では無理なく表現されていて秀作が多い。

この立体織りという技法も作者が丁寧に解説してくれた。

牡蠣養殖の塩ビ廃棄物が浜辺に打ち上げられていて、その海岸で集めたゴミ(パイプ)を加工したオブジェ。作者が養殖技術の地域的特色やプラごみの特性、地域の取り組みなど整然と明晰に語ってくれた。輪切りにして並べ、アイロンで押しつぶして圧着するというもの。お見事。

 

絵画は冴えない。明朗な作品でも何らかの鬱屈が絵の底には在る。その鬱屈が一番大きくなるのが若い時だ。その扱いには時間がかかる。

昔から卒制で一番冴えないのが絵画だったから、それは良いとしても出口を見つけるまで当面どうやって食い繋ぐかが問題だ。

これは面白い試みだった。一枚ずつは良くできているが商品になりにくい展示の仕方に可能性が感じられる。

小さな学部だが院生も含めて100人ぐらいは出品していたのかな?ここでも留学生(ほとんど中国から)が多い。

日本のあちこちで今、卒展が開かれていて、若者の様々な想いが込められたいろんな作品が並んでいる。美術を愛好する老人がその空気に刺激されて活気を得たというお話。尾道にも行けば良かったな。