広島アニメーションフェスティバルは1985年から18回、開催されたけれど、2020年に終了した。
有意義なものだったけれど、国際的なアートイベントを持続させる力が広島には無かった。文化的に東京の植民地である地方都市の悲しさだが、主催する広島市の人材不足でもある。前々からその辺りの無理を感じていたけれど、2018年、県立美術館ジブリ展が連日満員の時に、ほとんど市民参加のないアニメーション国際大会。もう限界だった。
独りでも動画が作れて個人的な想いを表現できる。
これはとても大切なことだから、そういった作品を顕彰できる場も必要だ。教育的な立場からは強く願うことだが、一方でネット動画では評論家のフィルター無しに多様な動画が飛び交って、大衆による評価が行われている。
今回の上映作品もほとんどがネットで鑑賞できた。
アート作品は(当然に)大人向けの内容が含まれるから、以前にはアニメ=子供と短絡した子連れ観客とのトラブルも起こっていたな。(今回は上映前に告知されるように改善されていた。)
寒々するほどの冷房が効いた会場で長時間座っているから居眠りばかり。後からネットで見直したりして何をしていることやら。
大友良英が音楽を担当した「犬王」上映前に、その大友がゲストでライブ演奏をするというので、この時だけは前の席に座った。毎週のジャズ番組を聴き続けているし、息子もいろいろ世話になっている方である。
薩摩琵琶の後藤浩幸とのセッション。琵琶のド迫力を盛り上げるギターサウンド。
その後は狂騒応援上映ということで大型ペンライトを両手に持った若者集団が前席に陣取って、いくつかの山場で立ち上がり、腕を振り足元を蹴る。でも声は出さず自分の立ち位置から動かない。狂騒とは程遠い行儀良さ。
どんなことになるのか?と案じていたのに拍子抜け。これではいかん。もっと暴れなさいと言いたくなる。
ビンを投げたり火をつけたりが普通だった我々世代とは大きく違っている。
音響はどれも優れていて、映像よりも優っていたり、映像のための動画であったり、「ヴィジュアル・ミュージック」と題された講演は面白かった。
チャーリー・バワーズ特集。映画創世記の異才が最近になって日の目を見ている。
デジタル化のおかげで、かすかに文書記録が残っている映像が実際に見られる。
これには神戸のバンドがライブで音楽をつけた。ベースの音に痺れる。
こんな調子でずいぶんたくさんの作品を見た。