ようやく大学内でWi-Fiが整備されてYouTubeなどを授業で使えるようになった。
美術の学びに映画は欠かせないものである。
学生時代にも映像の授業はあった。大阪のテレビコマーシャルのディレクターをしていた森居亀さんがその講師だった。「やめられない止まらないかっぱえびせん」とか、「パンシロンでパンパンパン」、等のCMを作った人だ。制作現場の裏話など今も記憶に残っている。
しかし実物の映像を見る事は全くなかった。映像の歴史にまず登場するジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」、その完全な映像を見ることができたのはつい最近のこと、つまり40年後だ。
まずピックアップしたのははスタンリー・キューブリック、アンドレイ・タルコフスキー、リドリー・スコットの3監督。
それぞれの代表作、2001年宇宙の旅、ノスタルジア、ブレードランナー、これらはまず押さえなければならないし、黒澤明の乱もここに並ぶだろう。
次に挙げたのは、パラジャーノフ、グリーナウェイ、そしてホドロフスキーである。
こうなると全く自分の趣味であるが強烈なアート志向の作品に学生たちも触れて欲しい。44年の教員生活を終えようとしているのだから、こういうメッセージを残しておくのも許されるだろう。
ここに小津安二郎の「浮草」も加えたいのだが、これを受け止めてくれる学生は皆無だろうな。こんな日本が60年前にあったのだけど。