過去の作品を振り返ってみようかと思い立った。
「時の声」 1980 116x81cm
直線的ではなく、循環する時間論に惹かれていた当時(まだ30歳になってなかった)、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読んで感銘を受け、その勢いで描いた。
中央はオルゴールのメカ部分だ。幼少期に眠りにつく前、壊れたオルゴールを布団の中に持って入り、これを使えば何でも希望が叶う「なんでもごっこ」を兄貴としていた。
小さなファンが静かに回る。壊れてたから音は出なかったけど、却ってそれが良かった。この絵の中でも音は流れていない。
ブリューゲルが好きだから、そんな絵を描きたかった。現代的様式では無いけれど、何百年も昔のオランダの画家に憧れるというのは過去には不可能なことだった。アマゾンの原住民の音楽に没入するのと同じように、この出会いは現代的ではないだろうか。