くらい

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朝から暗い。今にも泣き出しそうな空。
くらい、クライ、CRY
そんな歌があったな、50年代のアメリカンポップス。
久々に部屋の掃除。
何故か掃除機を回すと歌っている。いい加減な歌詞で適当に。
「人生、まっくら~ーー、いいこと無いでェ~・・」

職場で同僚から、老母の看病で一睡もしていないという話や、重篤な父親を見舞いに里帰りするという話を聞いて帰ったら、女房が突然、テニスコートで「何もしていないのに」下肢の痙攣に襲われ痛みが続いているという。
そうなんですね、「何もしていないのに」歯が抜けたり、足が痛くなったり、記憶をなくしたり・・・
おそらく「何もしていなかった」から、そんな事態が発生したのだろうし、歳を取るということは「何もしていない」のではなく、たいへん大きなエネルギーを費やしてきたということなのだろう。

暗さの原因は濃い霧だった。
いつものように一駅手前で降りて、長い橋を渡っていると、ようやく明るくなってきた。イヤフォンのラジオから流れる「Lの発音は上の歯茎に・・・」という指示に従って、LとRを発音してみる。
BとVもそうだけど、これらの違いは聞き取れない。英語圏で生まれ育った日本人には出来る。
民族によって色の感知も異なるというが、それも後天的なものだろうか?
いずれにしても、違う感覚があるというのは素晴らしいことだ。ギクシャクすることはあるにせよ。
コミュニケーションは同じになることではなくて違いを意識する、許容するということなのだろう。
などなど考えながら学校に着く。

来週に卒業制作展を控えて大忙しであるが、年々学生の発表に対する意識・自覚は低下している。
美術館に展示するという意義を感じない人が増えていて、思えばそれも当然で、テレビやマンガ雑誌こそが主要な舞台になりつつある。
美術館に置けば便器も芸術というように、マンガやアニメが芸術になっても仕方ないのだけどね。

締切りを守らない学生を追いかけている俺は、作家を責める編集者みたいで、来週の搬入までこのイタチゴッゴは続く。