絵画の歴史

画家のホックニーと美術史家のガイフォードが豊富な画像と洞窟絵画からCGまでを語る豪華本。これも京都の書店で見たものだがちゃんと図書館に収蔵されていた。

こういう授業を受けてみたかったと思わせる内容だ。

基本的に画家の視点で話が進むから、お決まりの美術史的常套句が少ない。

テンペラ画から油絵に変化する時、キャンバス地に描かれるようになった理由は

大海軍国家だったベネチアは帆布が豊富で容易に大画面を作れたからだとか、

印刷術の発明で出版が盛んになり紙の生産が増え、画家が素描に使えるようになり、レオナルドがたくさんの素描を残すことができた、といったエピソードが次々に語られる。時代の変化が新しい表現を生んでいく。

印象派以前の「硬直したアカデミズム」がどんなものだったのか、最近ようやくその画像を見られるようになってきた。この本でもたくさん掲載されていて、日本に洋画が導入された頃の状況が想像できる。ルーブルで大画面の絵画を見たときに、これは映画だなと感じたけど、実際にジェリコーの「メデューズ号の筏」はそういう扱いで、ロンドンで高い料金を取って公開され4万人を集めたという。CG映画の元祖と感じていたジョン・マーチンは欧米各地を巡回したとか、薄ぼんやりと感じていたことがはっきりと語られている。もっと早く知りたかったことばかり。

極東の島国で洋画を理解することって大変だったんだ。

昨日、雨の中を歩いたとき畑の草むらが面白かった。写真を撮ろうとしたけど、描いた方が良いのじゃないかと止どまる。

描いた方がリアルな印象を定着できることは多い。とても多い。