広島への帰路、上郡と三石の間、梨ケ原川沿いの堤防に延々と続く桜並木を見た。
山陽路で最も閑散とした所だけに人影は無く、静かな満開を迎えている。
何万人もの花見客が訪れる背割堤や蹴上、祇園を見てきた後で、人知れずあちこちに咲く桜を車窓から眺める。
桜にとって人からどのように見られるか、なんてどうでもいいことだろう。
でも、そのほとんどがソメイヨシノというクローンの桜。
えっ?という時点で一斉に枯渇する可能性もある。
これらの桜が植樹された頃、日本はこれからどんどん良くなると人々は楽観していたのだが・・・・・
夕暮れが近づいた河内手前の渓谷。
あ!いいな、とカメラを取り出そうとしたら手遅れ。シャッターが押せたとしても見たようなイメージが捉えられていることは、まず無い。
この後、列車の進行が遅れ気味になり、広島直前で止まってしまった。
線路火災で先が詰まっているという。少し進んでは止まり、列車乗り換えが続いても乗客はとても冷静に対応していた。日頃から動物事故などで遅延の多発する路線だから慣れているのだろうか。
動いてさえいれば乗り物で飽きることはないが、窓の外は暗くなり、全く動かない車内の所在ないこと。
幸い描画セットを携帯していたので、作品の構想を練った。
列車は1時間遅れて広島に到着。この日は午前中、孫の守りを頼まれて、新生児の授乳やオムツ交換などしていて、午後からの出発になり、計8時間ほどJR構内、車内で過ごした。
座り続けると大腿部が痛くなる。これから先、こんな旅をいつまで続けられるか?