岡山の新しい名産品として、穴が開いてクタクタになったジーンズがTVで紹介されていた。普通品の数倍以上の高値ながら人気が高いという。
ジーンズのやつれを出すために漁師や金属加工の労働者に履いてもらっている事には驚き呆れた。こんなことがいつから始まったのだろう?
50年前でもジーンズにやつれ感を求めることはあった。新品の濃紺も悪くないが気恥ずかしいところもあったので、軽石で擦るとか手荒く洗うこともやっていた。
反対に絶対に洗わないというのもあって、脱いだジーンズがそのまま立っていたという伝説もある。これは英国人から聞いた話だ。
美大生だったから絵の具のついたジーンズは当たり前、絵の具をジーンズで拭いていた男も居た。
おれが絵画からメディア表現に領域を移ったのは2006年のことだった。あれから14年になる。コンピュータ、そしてスマホと情報関係の進化発展は急激だった。
その間で労働の形は大きく変わってきた。ほとんど椅子に座ってコンピュータを見つめていて、汗をかいて身体を動かすことはない。
衣料全般に染料や布地が丈夫になり、昔ほど色落ちしなくなっているし、擦り減ることもない。穴が開くのは靴下ぐらいだ。
このような変化が穴あきジーンズの需要を生んでいるのだろう。
使い続けることで身体に馴染む。自分の時間と痕跡を保存する厚み、マチエール。
それを金で買うのか?これが付加価値なのか?と疑問は尽きないが、実際に求める人がいて高値で売買されている。
面白いね。