小学生高学年から中学の頃、駅前のデパート「丸物」で以前から欲しかった望遠鏡を手に入れた。クロームメッキの本体に豚革のケースがかっこよかった。
しかし、期待したほどの性能はなくて、それは残念だった。
ある日、屋根裏部屋の開閉式天窓から京都タワーを眺めていたら、ビシビシっと稲妻が走ってタワーに落ちた。雷は紫色をしていた。
デパートには望遠鏡の傍に方位磁石や拡大ルーペ、ローライのミニカメラもあったな。
後日に読んだ安部公房の文章に「詩人の7つ道具」として挙げられてたようなもの。
確かに独特の詩的な空間がそこにはあった。
このタイプの望遠鏡がロンドンの骨董市にたくさん並んでいた。100年ぐらい前のものが多かった。大英帝国の残り香がしていたな。
イギリスはちょっと立ち直れないんじゃないか、イタリアよりはマシかもしれないが。
アメリカもどうなるのやら。
そこで
もう一度、人類が遭遇する最悪の状況を予想した本を手に取る。著者はニューヨークに住む科学雑誌の編集長。2011年に書かれたものだが、まったく今回起こったことがそのままに描写されている。
著者はいまどう感じているだろう。ここまで当たると怖い。
この本には気候変動、生態系、バイオテロ、コンピュータウィルスについても書かれている。
世界の工場、中国で作られた電子部品に隠されたウィルス(プログラム)によって破壊される世界のインフラというのは可能性十分で恐ろしい。
邦訳題名は「人類が絶滅する6のシナリオ」副題は「もはや空想でない終焉の科学」という物凄いもの。
原題は「The Fate of Species」おそらくダーウィンの種の起源On the Origin of Speciesにかけているのだろう。副題は「なぜ人類は絶滅を起こそうとするのか、そしてどうすればそれを止められるか」というようなもので、邦題よりもずいぶんクールだ。
自然な暮らしに戻ろうという意見に対して著者は「ここまで人口が増大してしまったから、もう後戻りはできない。」と語る。
極東の片隅で、亀のように甲羅の下で、密やかに慎ましく閉じ籠るという道はないのか。永遠に成長し続けるなんてことは絶対にできないのだから。