担当している講義科目、だいたいは例年通りで流している。
昔、学生は新しくなるのだから同じことをやってもいいのだというY教授の意見に反発した俺が、講義内容を更新もぜずに繰り返している。
楽チンだもんね。
でも、それはいけない。未知へのチャレンジを具現するべきなのだ。
ということで少しずつ更新を試みているけれど、退職が近くなった今、情熱が薄れた、かと言うとそうでもない。
LPレコードのジャケット。ビジュアルの価値を語るのにこれほど素晴らしいものがあるだろうか?
これをテーマに語ってみたいことがいっぱいある。
音楽に飢えていた青春時代、レコードは高価で、しかも試聴もできないものだった。
中身を推察するのはジャケットデザインしかなかったから真剣勝負でジャケットを見つめ、裏のクレジットを読んだものだ。
LPレコードの絶対王者、ビートルズのサージャント・ペッパーズ・ロンリーハート・クラブバンド。これは迷いが生まれる余地がなかったね。
中にはサウンドが全く記憶に残らずビジュアルだけで満足したものもある。
これはマーレビッチ。
絶対主義の代表で真っ白の絵画で著名だが、この絵ですごく好きになった。
洒落ているが凡庸なジャケットのジャンゴ。こんな一時代前のジャズを何故好きになったのだろう?
それも歳を重ねるほどに好きになっている。若い時からレトロ趣味は強かった。
時代や地域にこだわらない嗜好は21世紀の特徴、先見の明があったか。
歪んでグニャグニャのジャズ、セロニアス・モンク。この写真は大好きな写真家ユージン・スミスが撮ったものだと最近になって知った。
レジスタンスの戦士に扮したモンク
このモンクを描いたのは往年の人気イラストレーター、ポール・デイビス。
こんな調子でレコードを聴きながらカバーアートを写真に撮り、WEBで調べたり、思い出に耽ったり。
こういうのんびりした時間が必要だったな。