住民と文化

またまた京都のネタです。
徒歩5分。ご近所の西本願寺では大法要をやっていて書院と飛雲閣が特別公開されていたから母親を誘って拝観した。写真はお断りなのでここで。
秀吉の遺構が移築されていて国宝で世界遺産という格付けがされているのだが、確かに内容はすごい。襖絵だけでなく天井にも趣向が凝らしてあって、制作者の技量も非常に高く世界の一級品と断言できる。でも、この地域でこれほどの物が存在している事を知っている人や拝観に来ている人はとても少ない。
母親は75年以上はこの地に住んでいるが、ここを見たのは初めてだという。
以前に両親をやはり近所の東寺に連れて行ったときも密教彫刻に驚いていたが、ご当地に住む人はだいたいそんなものだ。
しばしば地方の文化活動で地元住民への還元や住民参加が云々されるが、フィレンツェでもロンドンでもパリでも世界から人が訪れる。地元住民は多くない。文化に関心を持つ人はどんなに遠くてもやってくる。
広島のアニメーションフェスティバルの会場は外国人と県外者ばかり。これじゃいかんぞと県議会市議会で話題になる度に関係者はドギマギさせられているようだが、そういう考え方は企画のレベルを下げるだけだ。山口の情報芸術センターは世界的に評価されている施設だが山口市は人口20万人足らずの小都市、入場者の大半は関東関西または福岡からだろう。よくやっている、偉い!
即効性や目先の実利を求めて大きな視野を失うと何も育てられなくなる。余裕が無い時代だからこそ大切なことです。