さよなら八月

今日も暑くなりそうだと思った正午前、突然に薄暗くなって激しい雨が降り出した。

慌てて洗濯物を取り入れる。

夏の終わりか・・・・

 

昼食後、広島駅前デパートの大型書店に行く。

車で街に行く時のルートはほぼ決まっている。1992年から13年間続けたNHK文化センターの絵画教室に通った道だ。慣性の法則である。

このデパートは普段から空いているけど、さらにガラーンとしていてどうした事かと思ったら6、7、8階が市立図書館絡みの改装で準備が進められていたのだった。

デパートの凋落は発祥の地、ロンドン、パリでは100年前から進行している事だけど、我々世代にとっては自らの人生に重ね合わされる現象であり、寂しく、悲しい。

ほとんどの買い物をネットと百均で済ませている人間が、そんなノスタルジーに浸るのだから勝手なものだ。

本屋の文房具コーナーで筆ペンを試す。

大量のバリエーション。そして試し書きができる!素晴らしい。呉竹硬筆14号がスケッチに最適、購入。また筆記具を増やしてしまった。

本屋でB4版の日本地図帳を買う。20年ぶりの更新だ。辞書と地図、どちらも苦戦しているだろうな。パラパラと流し読み。こういう時間が少なくなっている。

 

夕食後、録画しておいた1943年版「無法松の一生」を見る。

素晴らしいカメラワーク、宮川一夫だ。主演は阪妻。戦時中の検閲でズタズタにされたらしいが洗練された映像に驚いた。

物語の舞台は小倉だが、駅のシーンでこりゃ違うなと感じて調べてみると、拠点は京都撮影所で少年(長門裕之)が転けて泣くシーンは先日訪れた彦根城だった。

ロケ地の詮索は楽しい。昨日の映画ではフィレンツェのピッティ宮からウフィツィ美術館まで「密かにヴァザーリの回廊を抜けて」いたが、誰でも使える通路で、面白くないから皆んな一般道を歩いている。ラストシーン、イスタンブールの地下貯水池は凄いところだった。アヤソフィアの大聖堂よりも印象に残っている。

ストーリーよりもシーンに関心があるので、何処で撮影したのかも知りたい。

子供の時に近所で映画の撮影を何度も見た。「ロケは大変なんだから見にきてよね。」と撮影スタッフが話していた。学生の時、大学の裏山で寝転がっていたら刀を持った股旅姿の男が何人か走りこんできて度肝を抜かれたこともある。

因みにこの映画、フルバージョンをYoutubeで見られる。

昔、実家の前はこんな感じだったと思われるような光景もあって儲けものでした。