広島 田舎の都会

福岡と大阪の中間という地理的な条件もあるのだろうか、保守的な志向もあるのか、何事でも全国的な変化や潮流が現れるのがとても遅い地域だ。

市内電車が走る市街は整然としていて不足や不満を感じさせることは少ない。

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病院が珍しく早く済んだので、帰りに県立美術館に寄った。早晩、休館になるかもしれないと思ったからだ。

北斎漫画の特別展示。先日ラジオの連続講演で聞いていたし、学生の課題で使わせてもらったこともある。

江戸の大衆文化が俺の幼児期まで続いていた。郷愁と嫌悪感が共存する。鋭い観察だが18世紀のスタイルであり、客観的=写真的と捉えている現代人には古臭くも思われる。

でも、富嶽三六景の斬新さは時空を超えている。

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常設展も覗いてみる。コレクションのロシア構成主義がとても好みなのだ。

俺以外に観客は一人。監視のおばさんが4人。

コロナ感染者は連日級数的に増大している。卒展は危ういな。

11月初旬、宮島に行った時、駐車場が混雑していて、めったに見ない地域のナンバーに驚いたことを思い出す。日本の中で感染が少なかった広島だから人気を呼んだのかもしれない。東京、大阪との往来は相当に多い街だから、そのお土産が溜まったのかも。

そういった沈殿が撹拌されて瘴気が拡散している状況なのだろう。

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美しい夕暮れだった。

モヤモヤとした混乱の中でけじめもなく長かった教員生活が終わろうとしている。

先が見えず、形にならないのが自分らしくて良いとも思える。 

それでも自分の終わりは自分で片付けなくてはならない。いよいよ迫ってきたな。