広島美術館巡り

広島市には3つも大きな美術館が在って、この規模の街では破格のことなのだが、市民は特段にそれを意識してはいない。
(県内には美術が学べる公立大学が二つもあって、これは美術館以上にとんでもないことなのだが)
きょうは寒さも緩むという予報だったから、それらをまとめて見て回ろうと考えた。

まずは比治山公園の現代美術館である。
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このポスターは全く展覧会の内容にふさわしくない。
「繊細」という言葉そのままに微かなニュアンスを味わう作品が大半だった。
それとかなり高齢の作家が多くて、これはアバカノビッチなどファイバーアートが盛り上がっていた70年代が強く彼らに影響したからじゃないかな。
そういえばこの美術館の野外展示にもアバカノビッチの作品が大きな面積を占めていて、いわば顔になっているのだけど、昨年,この方も亡くなってしまった。
などなど、懐古的な心情で鑑賞した。

別室の映像展示をちらっと見ると2年前に訪れた相馬に近い雰囲気があり、腰を下ろす。
ダンプがいっぱい走っていて大規模な土地造成みたいだが、すぐに津波の被災地だなとわかる。
ここに自分の家が在ったと記憶を辿る女性。しかしそこは何の痕跡も無い更地になっていて、巨大な堤防の下に埋もれようとしている。
津波に追い討ちをかけるような、さらに徹底的な人為による破壊。
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比治山公園で自転車を組み立てて平和公園方面に向かう。

球場跡地でフードフェスタをやっていたので昼食にしたが、冷たい風が吹いて女房は震え上がってしまったので早々に中央図書館へ。
そしてお次ぎは広重の東海道五十三次
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ガラガラだろうと思っていたらすごい混雑。県美も浮世絵の展示をしていて、かなりの人出だったし、浮世絵人気は根強いものがある。
江戸末期は旅行ブームだったそうだし、こういう版画が旅情を掻き立てたことだろう。
こんな風景が現代に再現されたら大人気スポットになれる。

館内では老若男女、いろんな人が熱心に見入っていて、楽しげに会話している。
東海道のおまけに江戸名所図もあって、これまた楽しい。
雪景色がとても多いけど、御茶の水など現地の地形がピンと来て「わかる」のが嬉しい。
昔の方がよく雪が降ったのかな

この東海道五十三次、ウェブで検索すると豊富な図版と解説がある。会場で販売されていた図録よりも色が良い。版画の授業で使えそうだから買おうとして思いとどまって正解だったな。

この後、ちらっと県立美術館に寄って、ある公募団体展を見た。ほんとにチラッとだけ。
この種の団体の衰退はもう救いようが無い、避けがたい。
内容、様式、サイズ、どれをとっても存続できる根拠が感じられない。
10年前まで俺もこういう絵を描いていたし、先日もデジタル化のために旧作を撮影していて、捨てがたい愛着を感じたのだけど、
100号なんて大きさ、迷惑千万だろうし処分するしかないな。

ということで、図書館から借りてきたプロジェクション・マッピングの解説本を流し読みして、このブログに書いて、そろそろお休みの時間が迫ってきました。
明日からまた寒くなるって。