遺産

人生で重ねた努力が、次への礎となって着実に継承され、発展していく。
それを「実を結ぶ」と表現するのだろう。
大成功とまで行かなくても、高望みしなければマアマアこんなものかなと多くの人が思っている。
日本ってそんな国だった。
農業中心ならトラブルはあっても季節が巡るなかで美しい風景が慰めてくれた。
会社が社会の中心である工業国で働き、都市とその周辺で暮らすという、かつて日本史になかった体験をしてきた我々の世代が晩年を迎えている。
悠々自足している人も居れば、「こんな世界にするために俺は身を粉にして・・・」と空しい思いに包まれている人もいるだろう。もちろん後者が圧倒的に多いはずだ。職場を自己評価の基準にすればポジティブな結果は期待できない。変化の激しい時代には過去の経験は役に立たない。世界人口も70億人だ。
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職場の実績よりも家庭を大事にするのが女性だと言われるけど、俺はそうではない。もちろん仕事のことを第一に考えて時間も費やしているけど、価値判断のトップに置いたことはない。かといって家庭第一でもなくて、その時の自分の都合と気まぐれで選択してきたから、ただの気まぐれでしかないが。
ただ、家庭は仕事のように奮闘努力して築くものではなくて、何となく作り出され育つものだ。偶然や幸運や成り行きで、うまくいったりいかなかったりするものではないかなあ。
うまくいかなかった友人のことを想う。ただ不運だったのか、不運はさらに不運を呼び込むのか。
そんなことを自室の壁を眺めながら考えた。
 
昨日の注射が効いてくるので、水曜は半分夢の中を泳いでいるようなものだ。
日本サッカーは負けたらしい。ゲームがあるとも知らず、朝食を食べながら、ウィンブルドンで剛腕のスペイン野郎と対戦した日本選手を応援していた。「みんなと一緒」が大嫌いだからちょうど良かった。
 
昨夜はオランダとチリの死闘を観戦した。
オランダは美しいサッカーを追求して勝ち負けを意識しなかった、とか、チリは相手のことは考えず、ひたすら相手ゴールに突進することしか考えていないとか。素晴らしい。芸術ですな。人生論です。哲学です。
その結果、両チームとも大会屈指の力を発揮している。こうでなくっちゃね。
おれもこれからは美しいプレーを追求することにしよう。
また身長170cmもないフォワードが大活躍しているのも嬉しい。
誰よりも速く走ればハンディは克服できる。小さなほうが心臓の負担もないしな。
階段息切れ男はテレビで疾走する危険な男たちに痺れております。