倉敷へ

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他の大学の卒業制作展も見ておこうと調べてみたが、あまり広報されていない大学が多いのが意外。
京都では1月末から3月まで、市の美術館は数多い美術大学の制作展ばかりが連続する。
これが普通と思っていたが、そうではなかった。
(今頃、この歳になって気づくのもどうかと思われるが)
東京の私立美術大学は学生数も莫大なので、物理的にも全員が同一の会場で展示することは不可能だ。
学内で3日間ほど開くのが標準で、学外のギャラリーになると選抜展になったり学科やコースごとに開いたり、グループでやったり個展をしたりと様々な形態をとっている。
大阪でも同様だ。
比治山は京都芸大の出身者が多かったので、自然と卒業制作展を重視するようになったのだろう。
学生数も少ないし、適当な美術館にも恵まれた。地元の出身者ばかりだから保護者の方々や卒業生が見てくれる。
これが、あたりまえと考えていた。京都の美術系大学も教員は大半が京都芸大だったから、「自然と」卒業制作展を重視するようになる。市の美術館も広いし、釘を打とうが砂を撒こうがおかまいなし。
かなり恵まれた条件で成立していたが、あたりまえのこととしか感じられなかった。
広島にできた二つの大学の美術学部東京芸大の出身者で固めているので、あちらの方法がスタンダードになっている。
それが「あたりまえ」なんだろうけど、その東京芸大も横浜に先端表現なる学科を作ったりして大きく変化してきている。そこが初めての卒業制作展を開くので、これは見に行くつもりをしているが、まず近場で見ておきたいと倉敷を訪ねることにした。

夕方に授業があるのと、新幹線に乗るほどのこともないので始発のアストラムで出かける。
6時になったばかりでもそこそこの乗客。大町で可部線を待つ人はホームにいっぱい。
山陽線はぎっしり。
いろんな生活があるもんだ。

会場の倉敷市美術館はとても展示に向かない所だと感じたが、調べてみると40年前にたてられた市庁舎を改装したものだという。
丹下健三設計でいかにも昭和。
学生数に比べて作品が少ないからピックアップしているのだろう。学生は正装して丁寧に応対してくれる。昨年の東京での制作展見学を思い出し、観客数の少なさを余計に強く感じさせられた。
工芸の完成度に比べて絵画がガクッと落ちる印象は、すべての美大に共通する。様式・技法・テーマすべてが千差万別だから仕方ない。映像作品は出来不出来の差が極端だったが案内してくれた学生の作品はアクションもので素晴らしい出来映えだった。
東京のアニメ制作会社で働くそうだ。

広島に戻って我が制作展の会場を訪れる。
幼稚園児のような元気よさ、荒々しさ。もう少し細やかさ、粘りがあってもいいな。
いつもと違って見えてくる。

写真は倉敷駅のホームで。寂しく寒かった。