新旧

御所に近い京都新聞社の地下でソニーに関連する展示が開かれている。以前は輪転機が回って新聞を印刷していた場所だ。活字を拾って版を組んでいた昔が懐かしい。若者向けのコンテンツなので個々の展示品は流し見て、全体の空気、空間構成に触れて早々に出た。
というのも京都御所雅楽の特別公演があり、そちらの時間も迫っていたからだ。御所の古木もしっかり色づいている。この11月下旬に市内を見て回れるのは幸運だ。やっぱり京都は美しい街なのだと実感する。

紫宸殿の奥の広場に舞台が作られ、周囲には観衆が輪を作っている。笙ヒチリキに太鼓などズラリと楽人が並ぶ。
唐の踊り手から継承された舞であると解説されていたが、こういう音と舞に憧れや理想を感じていたのだろう。それを想像するのは難しいけれど、遥かな世界への憧憬が日本文化を深めたに違いない。そして始原の地では消失してしまったものが大切に継承されている。
午前の2時間足らずで千年の新旧文化に触れる。京都ならでは。