ウェブサイトで「アートでスラムを再開発」という記事を見ていて、宿からも近いので行ってみることにした。
のけぞるような急坂をタクシーで15分。入り口のインフォメーションで有料パンフを購入して(充実の内容)文化村に足を進めると、これは本気だなと期待が高まった。
親しみやすいが素人の造形ではない。
マグリットのような空。美術の学生か・・
パブリックアートの経験があるリーダーが関わっているのだろう。
なかなかの密度でポップに造形されている。
「なんじゃ?これ」というものも多くて
軽いノリの女の子の作品かな、意表をつかれた。
深い感銘を受ける洗練された芸術ではないが、軽さと楽しさに溢れて美術のポジティブな面がいっぱいに出ている。「これから」を考えるにはとても良い例だろう。
これは見に来て良かった。
この雑貨感覚だから女の子がいっぱいやってくる。カバン持ちの男の子を連れて。
初老のご夫婦も手をつないで仲良く歩いていた。屋上の赤い小物は錠前の突いたハート。
王子様とキツネ像の前で家族のスナップ
光が当たっているところで壁は垂直になっているのだが・・・アイトリックも幾つかあった。
数少ないリアリズム。苦難の時代だった昔の写真からか。
港では見なかった猫もたくさんいます。
これは陶板。耐久性がありそう。反対にたいていのものが5年持つかどうか。
始終リニューアルを繰り返せばいいのだろうけど。
鏡を張り巡らしている。実際は6畳ぐらいの狭いスペース。現代的な作品も。
シンクロモーターを使ったシンプルな機構でキーボードを叩く両手を動かすメディアアート。
だいぶ色褪せてきたオブジェ
韓国も少子高齢化が進む。老人には過酷な急坂の環境だが、見せる見られる中で活気を感じているのではなかろうか。
区役所と住民と美術家が協力して作ったという。その背景には400万人近い人口がいる。
すぐ近くには繁華な市場が繋がる。
朝鮮戦争の避難民が作った新しい集落であるとか、いろんな要素が絡んでアートによる町の再興が実現したのだろう。
他の地域が真似をしてもできることではないが、ポップで気軽なアートの可能性が感じられた。
最近の学生とは話しが通じないと言われているし、俺もそう言ってる。
でも大衆の時代にあって、我々が馴染んできた美術は「前世紀の遺物」になっていて、それに気づかないのは老人だけなのか。