湖東三山

滋賀県に湖東三山と呼ばれる寺院があって、いずれも紅葉の名所として知られている。
次男が京都で働き始めた頃に、女房は滋賀を一緒に回っていたのだが、俺はなかなかその機会が得られなかったので、先日チラシで格安ツアーを見て申し込んでおいたのだった。
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滋賀の春は遅いので、期待通りに桜、雪柳、桃、椿、菜の花などなど、楽しめる。
京都市民にとっての田舎は同じ府内の丹波や丹後よりも、滋賀だろう。
広々とした琵琶湖と平野に恵まれ、多様なアクセスで交通便利。
子どもの時からあちこち回らせてもらったが、さすがにこの八日市付近は永源寺だけ。
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百済寺からの眺望。
かなたには琵琶湖を挟んで比叡山が見える。あちらの延暦寺と同様にこの三山も天台宗で、強力な僧兵を抱えていた。
この平野の真ん中が安土だから、信長が何故この辺りを焼き討ちにしたのか、ストンと納得できる。
これが今回最大の成果かもしれない。
目の上のたんこぶとはまさにこのことだろう。
また寺の名前から分かるように、この地域には百済からの渡来人、秦氏が住んでいて、今回公開の秘仏も第一刀は聖徳太子が刻んだという。
京都太秦広隆寺秦氏だし、太子との縁は深い。卓越した技術集団で脇を固めていたのだから、旧来のイモ貴族は手も足も出なかっただろう。なんてことも想像する。
ただ、ここの秘仏、古そうだが顔面が異様に小さく、付け替えられように思えるしトータルな彫刻として眺めると、いまひとつ。
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山城のような境内にいっぱいのミツマタ。お札や和紙の原料のあれです。
その名の通り空間を3等分する形で枝分かれしていく。ねばっとしたしなりがあって腰の強い紙をつくるのだろう。
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高齢者の多いツアーメンバーのマナーはとても良い。
娘さんに支えられて登る90歳ぐらいの老女の後を、杖を頼りにゼイゼイとついていく。
三カ所ともこのような参道がある。少しずつ慣れていったけれど、かなり情けない気持ちになった。
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山門の仁王様からも推測できるように仏像のレベルは高いが、堂内の撮影は不可です。
わりと自然体で拝観できる。
西明寺秘仏は仏顔の孫娘、若菜ちゃんにかなり似ていた。鉈彫りの朴訥な仏やら、かなり出来の良い阿弥陀さん、ポップなキャラの大黒さんなどなど、多彩な仏像を堪能。
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建築、庭園ともに素晴らしく、京都の寺院と遜色ない。
この付近は近江商人発祥の地で、田舎の集落の豪壮ぶりに圧倒されるほど豊かな土地だ。
食糧難が懸念される未来でも、ここなら生きていけると感じさせられる。
播州平野に散在する立派な寺院と同様の構図だけど、相当に広域な経済が都の文化を作ってきた。
この背景があるから紅葉名所になるわけですな。
このルートは自転車で走ってやろうと計画したところだ。
早く回復させて、実行させたいものだね。