心霊治療

5月始めにテニスで足を滑らせたとき、体をかばってついた左人差し指を突き指した。
この頃になってその痛みが気になるので整形外科を訪ねた。
レントゲンを待っているときに、やはりテニスエルボーで痛みが続いている右肘を擦っていると、傍らにいたご夫人が「痛みを取ってあげましょうか」と声をかけてきた。
曖昧な応答をしていたら御夫人は俺の右肘を中心にして両腕を拡げ手を細かく震わせながら目を閉じて集中し始めた。
念射というものらしい。強くたたかれる怖れはなさそうだ。
手の震わせ方は電子楽器のテルミンの演奏スタイルにそっくりだ。
3分が過ぎたあたりで、このオバサンは待合室で商売をしていて料金を請求されるのではないかという不安が起こってきたが、5分を経過した頃、レントゲン室から声がかかり解放される。
その後、診察を待っていると件の御夫人が診察室に呼ばれて入っていった。
患者の一人だったのだ。これでは効果も期待できない。
診察の結果は別段とくに痛んだところは無いから様子を見ようということになったが、痛みは続いている。でも右肘の痛みはほとんど感じられなくなっている。
効いたのかもしれない。
左手も念射してもらえばよかった。
レントゲンには痛みは映せないからね。
長い待ち時間を楽しませてもらいました。