ゴミか遺産か

インテリアを考えるとき、ほとんどものが無いシンプルな(ミニマルアートっぽい)空間を夢見ている。
クールに決めたい。
そんなことは実際には存在しないだろうけど、机の上がいつもきちんと片付いている、そんなシーンを実現してみたい。

そのためには溜め込んだモロモロを処分しなければならない。
年度末、またまたそういう気分になる季節になった。
しかし、しかしである。
文化の礎は「捨て去ること」か、あるいは「溜め込むこと」か、そのどちらにある?
答えは疑問の余地無く後者である。
問題なのはただ貯め込むだけでなく、それを活用できるかどうかなのだ。
それが遺すということだ。
いまのところ定期的な掃除がその機能をかろうじて果たしている。

今回カセットテープが処分の対象になっている。
ラジカセが壊れるのは決まってテープの再生部分だ。
いまやCDも旧世代になりつつあるいまテープなんか取り置く価値がありそうもないけど
カセットテープの利点はコピーだけでなく録音が容易にできたことにある。
LPレコードから今のCDまでで最もオリジナルに活用できたメディアだった。
まともな再生機器があるかどうかが問題になる。

掃除をしていると8mmというあるとき主流であった映像記録メディアが出てきた。
あまたの磁気記録媒体が出ては消え、そのつど相当な需要があり打ち捨てられる機器がある。
残したいという望みと、さらにより良いものへ欲望。

この問題への最終的な答えは「記憶」。
覚えること思い出すこと夢見ること。
そのもっとも洗練された形が「詩」なのだろう。

紙一枚。
これはゴミにはならない。
電気が無くても再生できる。