雨の街

終日、雨になるとは思わなかったが予報通りの奥天候だったので、予定していた映像ライブラリの上映へ、独り電車で。

「死の棘」。敬愛する小栗康平監督、しかも超陰鬱なストーリーだから居間で寝転がって見られる作品ではない。スクリーンで見るべきものだ。

館内はいつものように老人ばかり。ライブラリは殆どが前世紀の遺物VHSテープ。若者には未知なものだが来年、駅前に移転する時も持っていくのかな?

映画は良かった。カンヌでの高評価もむべなるかな。リアリズムに偏向せず様式美を崩さなかったのはさすがに小栗だ。

そこから徒歩で県立美術館へ。

途中、広島の霞ヶ関というべき官庁街を歩く。人影なく過疎地のようだ。雨を含んだ樹木が歩道上に重く被さり、落ちたニセアカシアの花で路上が白い。

日展広島支部展。見知った名前が多い。

向かいのギャラリーGでは木工などの展示を見る。

いずれも年配の作家ばかり。堅実、安定は硬直、沈滞でもあり、今日はそればかりを感じた。広島に居続けることの最大のマイナスである。

やっぱりデジタルを捨ててはいかんな。

数ヶ月ごとの機能向上と表現の多様化。この熱気と勢いがここにはある。