美術が景気の影響を受けるなんてことをこれまで考えたことがなかった。
でもこの2年間の美術入学生の増加を探ってみると全国的な現象だった。
オリンピックを控えて、全国に溢れる外国人旅行者など、ちょっと変なのじゃない?と思うほど好況感が充満していたから「美術系に進学しても何とかなるんじゃないか」という気分だったと思われる。
(もともと人口比で一定の美術志向を持った人が居る。職業への不安から周囲が抑えるけど、親の言うことを聞かない人やゆとりのある人、保護者の理解がある人がその道を選んでいるようだ。俺の場合は地域に美術工芸を生業とする人が多かったので、特殊な道という意識は無かった。野心が希薄なのはそのせいかもしれないな。でもそんな地域は少ない。京都とかフィレンツェとか・・・・)
その盛り上がりに、このコロナだ。
崖から蹴落とされるようなことになりはしまいか、と心配になる。
無事では済むまい。相当に痛い目に会いそうだ。
一方で、オンラインで映像配信が躍り出たから、その関係の仕事、つまりビジュアル伝達系は拡大していて需要は高まっている。
美術は本来は伝達手段だった。表現が前面に出てくるのは近年のことだ。
その切り替えができれば仕事はある。むしろ地道な視覚伝達に徹する方が深い表現に辿り着けるのではないかな。
宗教への奉仕が偉大な芸術を生んだように。
何十年もこんな心配ばかりしてきた。最後にして最大のパンチを喰らうか。
オシロイバナに子供の頃の行水を思い出す。タライの湯に浸かりながら眺めていた。