ギリシャ神殿装飾の基本になっているアカンサスを庭で育てている。
葉の形が美しい。
子どもの時、両親が使っていたミシンの引き出しにアーカンサスという砥石が入っていた。製造元の会社名なのかと思っていたが、なんとアーカンソー州で採掘されるオイルストーンの名称で、植物のアカンサスとは全く関係はなかった。
そういうことが、この歳になってもしばしばあるから、楽しいね。
図工室での授業で、部屋に置かれていた定規とカッターで紙を切った。
メモリの側に傷が入っていて使いにくいなと感じつつ、何箇所かに切り目を入れる。
その作業を繰り返しているうちに、ふっと昔の記憶が蘇った。
新しい定規を買ってもらったすぐ後に、級友がそれを取り上げて橋の欄干を叩いて傷だらけにしてしまった。親には黙っていたけど、ずいぶん悔しい思いが続いた。
そのときの感情がリアルに再現したので、しばらく６０年前の世界に浸っていた。
