連休ETC

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休むとは屋スムが語源で「家に居て静かに過ごすこと」であると岩波新書「ことばの由来」に書かれている。
そうか、連休だからと右往左往し、ETC割引で遠出を考えるなど愚の骨頂である。
部屋の窓から見える新緑に、読書に疲れた目を休ませて心静かに休暇を送りたい。
と考えていたのだが・・・・

生まれ育ちの賎しさ故か、先日の(最も唾棄すべき)ショッピングモール開店に続く俗塵コテコテの行動に及んでしまった。
車の運転は任せてくれという友人夫妻の甘言に乗せられ、姫路書写山への興味もあってルートを企画。

渋滞を避けて早朝に出かけたが10時でも姫路城の周辺は混みあっている。
幼かった子供たちと来たのは二十年前になるか。
やはり素晴らしい、文句のつけようがない内容である。
それだけに人が押し寄せる。1時間待ち。昼には3時間待ち。
フィレンツェのウフィッチ美術館並みだが、大勢の外国人向けの情報提供は無い。
後に居たフランス人カップルに尋ねられ、少し会話。
3週間の滞在で訪問するところに熊野や高野山も入っている。すごいなー、リッチ。でもGood Choice!
彼らは奈良NARAをナハと言う。フランス語のRはほとんどH。ラララと舌を巻きながらハと発音する。
ヤバイ感じのロシア人団体やシンガポール風の垢抜けたアジアンとか。賑やか。
隣接する好古園も予想以上に良くて、入場料もリーズナブル、さすが大観光地だ。

その後、宿泊地でもある書写山へ。
アクセスがロープウェイか徒歩に限られているのは珍しい。
特別拝観、御開帳が4つも重なって幸運。
こちらもかなりの人出であったが、類を見ない独特の伽藍構成は必見である。
書写山というぐらいなので写経に挑戦。俺ほど下手な人は見当たらない。
宿坊は我々4人に3部屋32畳という大盤振る舞い。
この時期なのに他に巡礼のオッサンひとりと別棟に女性2人の計7名の宿泊客、ガラガラである。
まずまずの精進料理だったが相当に設備は老朽化しているので先行きは怪しい。
しかし、畳は新品、手作り独特の歪みがあるガラス戸の向こうは深い山の緑。熟睡。

朝6時の法要に宿泊の7人が参加。清水の舞台のような摩尼殿で読経、法話のあと僧が奥の院まで説明しながら案内してくれる。
ただ、内容はロケのあった「ラスト・サムライ」の話題ばかりで今ひとつ。
山頂の僧坊という趣は薄く、兄弟関係にあるという延暦寺と同様に霊力の衰微を感じさせられる。

始発のロープウェイで下山。閑谷(しずたに)学校へ。
6,7年前に次男と一度訪れているが、域内には変わらずに教育の聖地としての凛とした空気が漂っている。
周囲800mほどを取り巻く印象的な蒲鉾型石塀の由来を調べようとしたが、WEBでは詳しい説明が見当たらない。
あらゆるものが隅々まで、丁寧に作られていて手抜きが無く、また良く手入れされている。
つべこべお説教するのでなく、これぐらい気合の入った建築を造って包み込めば、俺のように自堕落な教員でも感化されてしまうだろうに。

そのあと、吉備津神社のツイン切妻屋根と牡丹の並ぶ回廊、レンゲソウが群れ咲く国分寺五重塔など訪れて高速で一気に広島へ。
東へ向かう九州ナンバーの車が一杯。皆さんタフだな。
ということで、本日は連休最終日、今日こそ休もう。