台風は朝鮮半島に去った。その頃になってようやくこの地域にも、それらしい風が吹いた。拍子抜けだが有難いことである。
気象データを見ていると広島から強い風雨を防いだのは四国の石鎚山ではないか。
2000mの壁といっても地球規模ではかすかな突起でしかない。先日、宮島PAから遠望できたのだが、微かに青い山並みは霞のようだった。
人間の生活圏、毎日の気象変化、どれも薄い皮膜のような地球表面で繰り広げられていて、広い成層圏や深海は太古から変わらない世界が続いている。
昨夜、福岡に住む古い友人と話した。体格、性格、職業、体験、嗜好それらのどれを取っても俺とは対極にある人間だ。それが50年も音信が絶えない理由かもしれない。
最近は無料のビデオ通信を使うようになって長話が多くなっている。
長く学校勤務をしていると価値観が少しずつズレてくるので、企業の専務を勤めて政治経済の裏表に通じている友人の話はとても刺激になる。
学校、マスコミ、かつては社会に規範を示し、価値を決定していた装置であったが、とくにグローバル資本主義一色に染まった21世紀からはその地位低下は著しい。
学校の先生にとってはトランプは許しがたい人物であり、良識の立場をとるマスコミも彼の言動は認めがたい。しかし彼が大統領であり、再選される可能性も日々高まっている。世界の人が憧れたアメリカはどこにいったのか?民主主義の理念は?
「隠れトランプ」に見られるように50%強のアメリカ人はアメリカの理想、多様性の肯定に疲れウンザリしているのではないか。でも、それを口にはできない。否定もできないが、いい加減にしてくれないかなという忌避感が蔓延してきて、蓋を開けたらトランプ圧勝、ということにならないか。
相当に余裕がないと(あるいは無一物か)相違点や多様性を許容できるものではない。
ましてや落ち目の大衆層にとっては。
友人からは国内政局の裏話も聞く。大人の事情が満載で理念が語られることなく進んでいく。これも困ったことです。教員の視点からは。
その教育にしてもグローバル資本主義への人材供給を看板にして迷走している。
何%の人が海外で働き、英語を使う機会を持つのか?おそらく数パーセントでしかないだろう。現在の自動翻訳の精度は高い。「正しく日本語を話せるなら」使える。
ウーーム
こんな調子で世間に毒づいていたら、いくら時間があっても足りないぞ。もう少し老人になってから世界の心配をすることにしよう。