本当の夏

朝夕にヒグラシが鳴き、涼しさを求めて階下の和室で眠るようになると、俺にとって本当の夏となる。
ぼんやりした頭で、30分ほどピアノを弾く。(ものすごく下手なモーツアルトとバッハ、音量も低くして)
朝食はほぼ定番になったトーストにスライスしたトマト、ハム、タマネギを載せたサンドにバナナというセットにミルクティー3杯で40分近くかけて食べる。
台所には、たいていNHKのFMが流れている。朝のバロックが女房のお目当てで、そのあと7時以降はぐっと音量が下がる。ローカルニュースは「俺は中国地方に住んでいるのだ」という自覚を与えてくれるが、それ以上のものは何も無いのが不思議なほど。
新聞を見ながら雑談してると必ず意味のわからないことが出てきて電子辞書の登場となるが、なんと言うことも無い「舌づつみ」か「舌つづみ」かという何度繰り返したら覚えるのかというような疑問ばかり。
今朝はスラブ人という言葉が英語のSLAVE(奴隷)の語源になったと知る。
のんびりした毎日。

弁当、文具に加えて着替え一式が加わるのも夏ならでは。そのぶん服装は軽くなる。
きょうはダラッと過ごすというトピックで授業を始めたいから、バリで買ったジャワ更紗のアロハをリュックに詰めた。
自転車通勤のサイクリストおやじが着実に増えている。
自分だけと思っていたことが超凡庸になっていたという「プリウス現象」が再現するのだろうか。

土日のテニスで肌は真っ黒になった。
技は最低級だがコート内を走る早さは自転車のお陰かAクラス。
髪の白さが更に目立つ。びしっと刈り込みたいね。

ウィンブルドンではナダルが勝利。
完璧、冷静、正確を熱情が破る。
評論家の下馬評はフェデラー優位だったが現役選手の予想はナダルだった。
見ているだけでは理解できない破壊力を持っているのだろう。
何よりも強い意志が次の時代を拓く。なんかナチみたいだけど。