芥子園画伝

芥子園画伝という東洋画の指南書があることは学生時代から知っていたが、一見して書道のお手本みたいで全く興味が持てなかった。

それを借り出して半世紀ぶりに手に取る。

この2年間、筆墨で文字やスケッチをしていたから受容する姿勢は整っているはずだが、やっぱりお手本帳の印象は変わらない。

幾つかを写してみる。

「俗世を離れて仙境に遊ぶ高雅な隠者」が最も重要なモチーフで、岩や樹木、水や家屋もそれを暗示するものでなければならない。画像に付されたそんな説明が面白い。

隠者のファッションは手足が出ないほどブカブカで布団のように分厚い。釣りや農耕は見せかけだけで、一杯飲みながら琴を弾き詩を吟ずる以上の動きはとれまい。

凡俗の徒には真似できない貴族だったんだな。

(列強に蹂躙される清朝末期が予感される。)

お目当てだった岩の描法に得るものがないのは残念だが、これは風土の違いが大きく影響するから仕方ない。

近隣東アジアの文化に感じる親しみと反撥。もっと写しながら考えてみよう。

ひまわり畑は息子宅のすぐ近くだったので孫を連れて今日も寄る。